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WEEKLY REPORT 第733号 No.14  2008年11月10日
 夢をかたちに

前例会の記録 本日のプログラム 次例会の予定
○10月27日(月)第732回
○ソング:それでこそロータリー
○行事:卓話(米山奨学生)
(担当:国際奉仕委員会)
○11月10日(月)第733回
○ソング:君が代・奉仕の理想
○行事:卓話
(担当:クラブ奉仕[ニコボックス])
○11月17日(月)第734回
○ソング:我等の生業
○行事:クラブアッセンブリー
地区大会の報告
(担当:会長・幹事])
会長挨拶 尾藤英邦会長
 お客様のご紹介をします。米山奨学生の薩如拉さんです。米山月間ということでお話をしていただきます。すでに4ヶ月ほどお付き合いをさせていただいておりますが、とても真面目な方で、努力家であり、9月8日、9日と博士の試験があり、無事合格されたそうです。おめでとうございます。8月24日のトンボ池の清掃にもご主人と一緒に汗だくで清掃していただいて、頑張っていただき素晴らしいお仕事ぶりだと思います。また個人的なことですが、12月にお子さんが生まれるそうで、期待して待っていてください。
 以前、薩如拉さんの小論文を拝見せていただき、大変素晴らしいものでした。中国の大学を出られてから就職されて、夜日本語を3年間勉強して岐阜大学に留学されました。現在は地球温暖化のせいなのか砂漠化が進んでいます。その砂漠に植林をして緑を増やそうという研究をされています。これが成功すればノーベル賞ものだと思います。素晴らしい研究をされていると思います。頑張ってください。
 また本日は武藤衆議院議員も来ているので、政界の厳しいところをお話いただければと思います。今日はよろしくお願いします。
来客紹介 出席報告
米山奨学生 薩如拉(サルラ)さん
本日のホームクラブ
12 / 18 (67%)
先々週の補正出席率
14 / 18 (78%)
ニコボックス投函発表 (担当 大野茂夫委員)
◎武藤容治君
 ヤッとかめでございます。が、メールボックスにタップリとたまってたので、大変ご無沙汰なのですね。
委員会報告
◎武藤容治会員
 
本当にお久しぶりです。半年と言うのは冗談ですが、久しぶりに昼の時間が空いたので、ロータリーにお邪魔しに来ました。振り返るとたぶんこのグランドホテルで麻生先生が来ると言って、皆さんを詐欺に巻き込んだとき以来だと思います。おかげ様で官房副長官に来て頂いて楽しいお話しをしていただいて、ホッとしました。あっという間にあれから一ヶ月たち目まぐるしく月日が過ぎています。最近は毎月第4月曜日穂積駅前に朝6時半くらいから立っているんですが、大変たくさんの方に冷たい眼で見られながら、第2月曜日は各務ヶ原の鵜沼に立っております。いろいろマスコミを見ておりますと、いつ総選挙をやるのかということが、皆さんの関心事であろうと思います。私も浅生派ですが、話を聞いていると今選挙をやることは筋違いだと思います。アメリカなど厳しい経済状況を考えて国会対策委員会の副委員長という役割を任されるようになりました。これから先どうなるのか一寸先は闇というのが永田町の定説ですが、10月31日から中小企業の保障『セーフティ保障』という制度が出来上がります。対象業種が170から550となり、信用保証協会、経済産業局、商工会議所などにご相談いただけるようになりました。審査期間が1ヶ月でなんとか12月の資金繰りに間に合うと思います。一度是非かけ合って、何か問題がありましたら教えてほしいなと思います。
◎米山奨学委員会 高橋陽一委員長
 米山奨学会の寄付の方よろしくお願いします。
◎幹事報告 田口利満幹事
・11月10日に定例理事会があります。
・11月15日に地区大会が開催されます。
・11月24日は振替休日ということで休会となります。
卓話 (担当:国際奉仕委員会)
『バイオマスボードを用いた半乾燥地緑化資材の開発』
          米山奨学生 岐阜大学農業研究課 薩如拉さん

1.内モンゴルの紹介
 内蒙古自治区は中華人民共和国の北部に位置し、北はモンゴル・ロシア連邦と国境を接していて、モンゴル族が集中居住している自治区である。面積は約118万km2、人口は約2384万人である。北東から南西に伸びる細長い地形。東北には標高1500mの大興安嶺山脈が南北に伸び、南の陰山山脈と黄河を境としてモンゴルから続く標高1000〜2000mの高原が広がっている。高原の大分は草原だが、西にはパタンチリン・テングリ・ウランプハ砂漠がある。黄河は陰山山脈にあたって南下、その黄河の内側部分をオルドス高原と呼んでいる。平原は少なく、黄河流域に広がる河套平原と大興安嶺の東側に遼嫩平原がある。ほぼ全域が大陸性気候だが、南北に細長いため、冬は北で-30度、南で-10度と気温差が大きい。夏は北に位置しているため、大都市を除いては比較的過ごしやすく、西部で25度、中北部で20度ぐらいである。しかし、砂漠地帯では最高が40度を超える日もある。年間降水量も400〜500mmと乾燥しており、冬の降雪も少ない。主な産業は農業・畜産業で、林業・観光業などもある。希土類・乳製品・カシミヤの生産量は中国で第1位である。内モンゴル自治区は『東部は森林、西部は鉄鋼、南部は農業、北部は牧畜、全域で鉱産』と言われてきた。しかし現在は砂漠化や資源の枯渇などの問題が現れてきている。内モンゴル自治区だが、住民の80〜90%は漢族が占め、モンゴル族は10〜15%の少数派で、その上ほとんど漢族化してあまり区別が付かなくなった。しかし、内モンゴルでは失われたモンゴル文字が残っているため、最近ではモンゴル本国からモンゴル文字を習いに留学してくる学生も多い。また内モンゴルでは、行政区分が独特で、市のほかに盟(地区にあたる)・旗(県にあたる)が使われている。
2.内モンゴル砂漠化のメカニズム
 内モンゴルでは、1960年頃から砂漠化が急速に進行している。内モンゴル自治区の使用可能な草原の面積は、1960年の82万km2から、1999年には38万km2に減少した。中国では、乾燥など厳しい気候条件下で自然に形成されたものは「砂漠」と呼び、人間の活動で砂漠に似た状態になったものを「沙地」と呼んで区別している。内モンゴル自治区にある4つの沙地は、気候的に草原が広がるはずのところである。
 内モンゴルが、自治政府として成立したのは1947年。実に中華人民共和国成立より2年も早い。1949年に自治政府が自治区政府に改められた。以来、多くの漢族がこの地に移住してきた。1953年には610万人、2006年度の人口は2384万人、実に1953年の4倍に近い。l内、モンゴル族は423万人にすぎない。
 農耕民族である漢族の増加は、必然的に農地面積の拡大をもたらし、草原を縮小させることとなる。モンゴルのステップの表土は、大体30cmから40cmの多年草の根によって構成されている。モンゴルに行って、大地の断面を見ると、一番上が黒い層で覆われている。その土には、多年草が生えており、毎年その根から新しい草が出て、家畜たちがそれを食べて生活ができていた。すき(犂)を入れて開墾すると、ちょうど30cmぐらいの黒い表土が耕される。そうすると多年草の根もなくなってしまう。一応黒い土なのである程度の栄養があって、3年から5年ぐらいは農業ができる。2年目、3年目ぐらいまではいい収穫もできるが、モンゴルというのは風が強いところで、5年ぐらい経過すると風化してしまう。そして、表土の下に砂上の土があって、それが出てくる。そうして砂漠化が起きる。今中国では開墾したところを牧草地に変えよう、林業地に変えようという政策をとっているけれども、いったん開墾された土地の多年草の表土は二度と回復できない。数万年かけてできたモンゴル草原の表土は草原の保護層。ですから、モンゴルのステップはいったん開墾されると二度と回復しない。
 もう一つは、薬材採掘という要素がある。中国は漢方薬の国なので、あちらこちらで薬材をたくさん掘ることができる。その薬材は大体多年草の根なので、それがたくさん掘られて、内モンゴルの砂漠化の大きな原因の一つになっている。1980年代初期には、内モンゴルのでも農業請負制度が導入され、家畜と牧草地使用権の分配が行われた。各世帯では鉄条網で牧草地を分断、定住型の放牧に移行し、その結果、伝統的な遊牧様式が排除されていった。内モンゴルでは、82年に家畜の分配が行われ、2年後の84年に牧草地の使用権を牧民に分けようということになった。それまで遊牧というのは一部の牧草地を休ませながら交代で使う仕組みだったが、限られた牧草地を各個人に分け与えることによって、家畜がごく狭い範囲から出られなくなってしまった。そして多くの地域では囲いを作って、家畜をその中に閉じ込めた。それが内モンゴルに悲劇をもたらした。この20年間の砂漠化のスピードは、かつての100年、200年の砂漠化をはるかに超えるものでした。牧畜民自身、危機的状況に無自覚であったこともある。馬や牛は草の青いところだけを好むが羊は草を根こそぎ食べてしまう。そのために草原の回復に時間がかかる。そこで伝統的に、草を食べ尽くすことのないよう羊を連れて移動するという遊牧という形態がとられた。ところが、改革開放経済以後、家畜の商品としての経済価値の高まりや、食肉の需要などにより、羊の飼育頭数が急激に増加、土地の許容量を超えた羊が放牧される「過放牧」の状態となった。すると、土地の回復が間に合わなくなり、砂漠化が進むこととなった。こうした状況に危機感を持った中国政府は、ようやく環境問題に着手しはじめた。90年代に劇的に進んだ環境破壊に対処するため、2001年からはじまる第10次5ヵ年計画では、生態環境保護が大きな課題となった。2002年にはじまる「退耕還林」(耕作地を森林に戻す)政策は、牧畜地域では「退牧還草」(牧畜を禁じ草原を回復する)事業として実施された。鉄条網で区切った地域の立ち入りを制限して一定期間放牧禁止区域とし、草原の回復を図る。牧畜民に対し、資料の援助などの補償はあるものの、指定された地域から牧畜民は締め出されることとなる。また、これに伴い「生態移民」という政策も実行されている。これは、生態環境保護のために、そこに住む住民を丸ごとほかの土地へ移住させようという、いささか強引にも思える政策である。中国政府によれば環境保護の上では一定の成果を上げているとされているが、さまざまな問題も引き起こしている。他にも、内モンゴル全域に190の自然保護区が設けられ、貴重な観光資源ともなっている。そこには美しい草原が保存されているものの、もとよりモンゴル族が生活できる場ではない。こうした草原の囲い込みや生態移民、自然保護区域の設置は、環境保護という目的は緊急の重要な目的のためではあるが、それが皮肉にもモンゴル族から遊牧民の暮らしをさらに奪っていくこととなった。
3.私の日本留学と研究経過
 大学卒業後、錫林高勒市の会社に就職した。錫林高勒市にいた3年の間、春と秋になると錫林高勒市に砂嵐が起き、日常生活に大きな悪影響をもたらし、現地の遊牧民はもっとも被害を受けていることを肌で感じた。その環境が悪化し続けると住民が生活しにくくなり、将来、この土地が廃土となるのではないかと不安だった。そこで、私は落ち着いて仕事をすることができなくなり、この現状を変えるため先進国に行き、新しい技術を研究し、悪環境に苦しんでいる人々の生活環境を改善しようと考えた。そして、砂漠化を改善するのに密接なかかわりを持っているバイオマス変換学を研究し成果をあげている棚橋教授の指導を仰ぎながら、バイオマスボードを用いた半乾燥地緑化資材開発を研究するように決心し、留学した。棚橋教授の研究室では、製材過程で生じる木粉や木材チップ、間伐材などの木質系残渣、大量に排出されている稲ワラや雑草など農業系残渣で資源として利用されてない廃棄物を利用して、高圧水蒸気条件下での圧縮処理により、接着剤を用いないボード成形技術の開発を行ってきた。これにより得られるボードは堤防等に敷設し、防草効果を持つバスターボードとしての利用がすでに開始されており、さらに道路敷設の際の敷材としての利用など、多方面への利用の検討がなされている。成形時に接着剤を用いないため、接着剤を用いたボードと異なり環境にダメージを与えることなく自然に還るという利点も備えている。更に、分解され自然に還ることにより、最終的に肥料になることからも自然に優しい製品であるといえる。
 今までは砂漠化緑化と土壌の改善を目指して、各木材チップ600gにそれぞれ市販化学肥料を10%、20%、30%を粉状態で加え、高圧水蒸気圧縮成型装置で120度の高圧水蒸気で減量を軟化処理して、油圧プレスで成型させ、180度の高温水蒸気で形状固定加工を行い、植物の成長に必要なカリウム、リン、カルシウム、マグネシウムなどを添加した肥料含有ボードを製造した。本ボードの物理的実験として、バイオマスボードと肥料添加バイオマスボードを30mm角に切り分け、吸水率、吸水厚さ膨張率、吸水−乾燥繰り返しによる寸法安定性、剥離強度などを測定した。化学実験は、肥料添加バイオマスボードのリン、カリウム、マグネシウムなどの成分分析として、浸漬タイプと滴下タイプの溶出実験を行い、元素の溶出する速度と溶出する量をICPで測定する実験を行ってきた。そこで、上記高圧水蒸気蒸留残渣や成竹の横圧縮で生じた廃竹粉、および荒廃した竹林に多く残されている枯れた竹材からのチップを利用し、肥料添加バイオマスボードを製造し、このボードの多機能性を利用し、半乾燥地で砂漠化が進行して非常に深刻な問題になっている地域に敷設することで、長期的、持続的栄養の供給により樹木等の生育に寄与できる砂漠緑化資材の開発を行い母国の砂漠化の防止に貢献したいと考えている。今後の研究では、肥料添加バイオマスボードを半乾燥地域に敷設することにより、土壌の流出を抑止するとともに長期的、持続的な養分の供給、保水、保湿効果、雑草防除効果、土壌温度安定化効果、砂漠緑化に助力する多目的マルチング材として用いることを考えている。また横圧縮成型装置を利用した肥料添加バイオマスブロックを考え、地中に埋設することにより、水分保持率と養分供給を担わせ、地表上ではバイオマスボードを併用した新しい緑化法と廃材や森林残渣をボードとして、環境に還元する循環システムの構築を検討したい。肥料の種類、濃度、粒径を変えることによって、溶出実験を繰り返し、どれが植物に一番いいかを明らかにする植物生育実験を行う計画である。
4.終わりに
 このたびロータリー米山奨学生になり大変嬉しく思っており、ロータリアンの皆様に心から感謝しております。現在カウンセラー、ロータリアンの方々と国際、文化交流を行いながら相互の理解を深め、学生生活では体験できない人間関係を育み、とても楽しく過ごしています。米山奨学金をいただく事により心理、生活面でも余裕ができ、毎日安心して研究に取り組むことが出来ており、研究のほうも順調に進んでいます。9月8、9日の博士の入学試験では外国語と専門科学の筆記試験、プレゼンテーションを30分間行いながらの面接を経て合格しました。また、9月26日から29日まで中国ハルピンでIAWPS2008という国際学会が開催され、私もポスター発表で参加でき、いい経験になりました。学会後、修士論文執筆に向けた研究を進め、非常に多忙な毎日を過ごしています。ここまで研究を進められたのは、本当に皆様のおかげだと思っております。また、今後ともよろしくお願いいたします。どうも、ご清聴ありがとうございます。
2008-2009週報/年間行事予定
岐阜エトスロータリークラブ 2008〜2009年度
例会日 毎週月曜日 12:30〜13:30
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